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【書籍】人は、なぜ他人を許せないのか?

東日本大震災が発生したとき、被災地で暴動や強盗が多発することもなく、炊き出しには列をつくって順番に食料を受け取る日本人の姿が海外メディアで称賛されていた、と聞いたことがあります。

日本人からしてみれば当然のことではありますが、世界的に見て当たり前なことではなく、日本人の有事の際の集団行動は称賛に価するほどの秩序が守られていたということなのでしょう

では、なぜ日本人は協力的に行動することができるのでしょうか?

それは、日本に災害が多いという地理的な要因があると考えられます

日本では太古の昔から自然災害が頻発しています

大きな被害を受けた時、そこから集団で助け合い、協力しあって生き抜いていけるDNAを持った人が生き残りやすい、つまり協調性の高い人がDNAを残しやすい環境にあるということです

一見、よさそうに見えるこの特性ですが、協調性の高さ故のネガティブな側面があります

それが、協調性のない人はけしからん、と平均値からはみ出た存在である人を排除したり攻撃したりする現象です

厄介なことに、この自分の正義にそぐわない人を非難するこの認知構造は依存症とほとんど同じだと著者は言っています

他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されます

引用元:人は、なぜ他人を許せないのか?

アイヒマン実験(ミルグラム実験)

本書でも言及がありますが、イェール大学のミルグラムが1963年に発表した有名な実験があります

被験者を教師役と生徒役に分け、教師役が生徒役に問題を出し、生徒役が間違えると教師役が生徒役に電気ショックを流すという実験です

生徒が間違えるごとに電圧が強くなり、生徒役が苦しむ姿を見て教師役がやめようとすると白衣をまとった権威然とした実験者が続行を迫ると、なんと3分の2の被験者が危険水準の最大電圧まで電気ショックを与え続けたという結果になりました

(生徒役は実はサクラで電気ショックは与えられておらず、苦しむ演技をしていたのですが、教師役の被験者はそれを知りません)

被験者には体罰と学習効果を調べる実験であると説明がされましたが、実際には、平凡な人物が命令によって残虐な行為をするのか、を調べた実験でした

実験の結果は、普通の平凡な市民が一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行うことを証明するもので、そのような現象をミルグラム効果とも言う。

引用元:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さて、自分ならどうしただろう?

絶対途中でやめるでしょ、と、信じたいところですが、3分の2が権威者に従った実験結果を鑑みると、ある条件下に置かれると、自分だって信じがたいような残忍な行動をとる可能性は捨てきれません

対策を考える

他人を糾弾し、自分では正義感で言っているつもりでも、実は単に正義(かどうかも怪しいが)を振りかざして快感をえている「正義中毒」になんてなりたくないし、同調圧力の下、非人道的な行為を行うなんてこともしたくない

でも、人が陥りやすい心理を知っておくことで、状況を第三者目線で気が付くことができれば暴走にブレーキがかかることもあるかもしれません

いまなら、「あ、今正義中毒にかかっているな」とか、「あ、権威に命じられるまま実行しようとしている。これはよくないな」とか、いったん立ち止まることができるかもしれません

脳科学的なアプローチからも対策ができます

脳科学者である中野信子さんが本書で述べられていますので興味のある方はぜひ読んでみてください

まとめ

ややこしい生き物ですね、人間